人工呼吸器の娘が受けてきた予防接種

人工呼吸器の娘が受けてきた予防接種 制度・お金

冬が近づくと、RSウイルスやインフルエンザが気になりますよね。人工呼吸器や気管切開が必要な子どもは、かぜをきっかけに体調を大きく崩すこともあり、どんな予防ができるのか不安になる方も多いと思います。

娘のさくらは、SMARD1という病気で人工呼吸器を使っています。私たちは主治医と相談しながら、RSウイルスを防ぐ薬、毎年のインフルエンザワクチン、年齢ごとの定期接種を受けてきました。

この記事では、それぞれの予防法の概要と、私たちが実際にどう受けてきたかをまとめました。同じように感染症が心配なご家族に、少しでもお役に立てればと思います。

重症化を防ぐ3つの予防法

重症化しやすい子どもの感染症対策には、大きく3つの予防法があります。どれを、いつ受けるかは子どもの状態によって違うので、主治医と相談して決めてください。

予防法防ぎたい病気時期・回数費用
シナジス(抗体製剤)RSウイルス感染症の重症化流行期に月1回医療保険(対象になる子どものみ)
インフルエンザワクチンインフルエンザ毎年秋~冬。13歳未満は2回が基本任意接種のため自費
定期接種ヒブ、肺炎球菌、BCG、MR(麻しん・風しん)、水痘、日本脳炎など年齢ごとに国が決めた時期公費(市区町村が実施)

費用の扱いは、予防法ごとに違います。ここからは、3つの予防法ごとに概要と、私たちがどうしてきたかを紹介します。

RSウイルスにはシナジス

シナジスは、RSウイルスによる重い肺炎などを防ぐための薬です。ワクチンとは違い、ウイルスと戦う抗体を直接補う『抗体製剤』です。

RSウイルスがはやる時期(流行期)に、月1回打ちます。対象は、早産で生まれた子どもや、心臓の病気・免疫不全・ダウン症候群がある子どもなどです。2024年3月からは、24ヶ月齢以下で神経筋疾患や気道狭窄などがある子どもも対象に加わりました。

2024年3月には、『ベイフォータス』という抗体製剤も承認されました。1回の流行期に1回打つ薬ですが、使えるかどうかや量は、子どもの状態や、生まれてから何回目の流行期かによって違います。お子さんが対象になるか、どちらを使うかは、主治医に確認してみてください。

さくらがシナジスを打ったのは2022年で、神経筋疾患などが対象に加わる前でした。今とは対象の範囲が違いますが、人工呼吸器を使っていることから主治医に勧められ、2022年7月から2023年3月まで、毎月1回・合計9回打ちました。打った場所は、毎月通っているかかりつけの総合病院で、通院日に合わせて打ってもらいました。

費用は、毎月の通院費として支払う500円のほかにはかかりませんでした。さくらは小児慢性特定疾病の医療費助成で『人工呼吸器等装着者』にあたり、自己負担の上限額が月500円だったからです。上限額は、所得や認定の区分によって変わります。

通院日のさくら

インフルエンザは毎年2回

インフルエンザワクチンは、毎年秋から冬にかけて打つワクチンです。13歳未満は、1シーズンに2回接種が基本です。

子どものインフルエンザワクチンは、法律で決められた定期接種ではなく、希望して受ける任意接種です。そのため費用は原則自費で、金額は病院によって違います。市区町村によっては助成があるので、窓口で確認してみてください。

さくらは、1歳の秋(2022年11月)から毎シーズン2回、かかりつけの総合病院で打っています。

打つと決めたのは、人工呼吸器を使っているさくらがインフルエンザにかかると、重くなるおそれがあると考えたからです。副反応についても考えましたが、インフルエンザワクチンは長く使われてきたワクチンなので、必要以上に心配しなくてよいと私たちは判断しました。副反応の心配より、かかったときに重くなる心配の方が大きいと考えて、毎年打つことにしています。

2025年1月には、ワクチンを打っていなかったパパがインフルエンザにかかりました。パパは38℃くらいの熱、さくらも37℃くらいの微熱があったので、念のため訪問診療の先生に来てもらいました。検査キットの結果は、パパが陽性、さくらは陰性でした。

その後、パパは2階で過ごし、さくらのケアはママに任せました。1階と2階でLINEをしていたとき、ママからこんな言葉が届きました。

「ワクチンって打って良かったって初めて感じたわ」

さくらにうつらなかったのがワクチンのためかどうかは、分かりません。ママが「初めて」と言ったのは、2022年8月に家族でコロナにかかったとき、コロナワクチンを打っていたママも感染した経験があったからです。

定期接種は通院先でまとめて

定期接種は、予防接種法にもとづいて市区町村が実施する予防接種です。ワクチンごとに受ける年齢と回数が決まっていて、公費で受けられます。

生後2ヶ月からロタ・五種混合・肺炎球菌・B型肝炎などが始まり、1歳でMR・水痘、3歳で日本脳炎と続きます。受ける時期の目安は、厚生労働省のホームページや、市区町村から届く案内で確認できます。

入院で間が空いた定期接種

さくらの定期接種は、最初から予定どおりには進みませんでした。生後2ヶ月で初めての予防接種に行った日、胸のへこみを指摘されて総合病院へ紹介され、接種は延期になりました。

そのあと、近所の小児科でヒブ・肺炎球菌・B型肝炎・ロタなどを受けました。ところが、その後さくらは入院することになり、次の接種まで約4ヶ月空きました。

入院中は、病院で残りの接種を受けました。退院後も、MR・水痘・日本脳炎などを、毎月の通院日に合わせて受けています。どのワクチンも国が決めた年齢のうちに受けられたので、下の特例は使わずに済みました。

予防接種の記録

重い病気の治療などで定期接種を受けられなかった場合、一定の条件を満たせば、対象年齢を過ぎても定期接種として受けられる特例があります。対象となる事情や期間、年齢の上限はワクチンによって異なるため、詳しくは市区町村の窓口で確認できます。

市外の病院で受けるときの手続き

さくらのかかりつけの総合病院は、住んでいる市の外にあります。定期接種は、住んでいる市区町村が案内する病院で受けるのが基本です。入院や通院の都合で市外の病院で受けたいときは、事前に申請すれば受けられる場合もあります。

私たちは、予防接種だけ市内の別の病院で受けるのではなく、毎月通っているかかりつけの総合病院でまとめて受ける方を選びました。手続きの手間は少し増えますが、通院のついでに受けられて、レンタカーを借りるのも1回で済むからです。

申請の書類や払い戻しの期限は、市区町村ごとに違います。受ける前に、住んでいる市区町村の窓口で確認してみてください。私たちの場合は、次の流れでした。

市外の病院で定期接種を受けたときの流れ(私たちの場合)
  1. 受ける前に、市役所に申請して書類をもらう
  2. 病院に書類を出して接種を受け、費用をいったん支払う
  3. 病院から、接種の記録と支払った金額が分かる書類をもらう
  4. その書類を市役所に郵送すると、数ヶ月後に払い戻しが振り込まれる

接種の日に気をつけていること

特別なことはしていませんが、接種した日と翌日は、熱が出ないかを気にして見ています。たまに翌日熱っぽくなることはありましたが、受診が必要になるほど体調を崩したことはありません。

記録を見返すと、シナジスとほかのワクチンを同じ日に打った日もありました。当日の体調や、何を同じ日に受けるかが気になるときは、主治医に相談してみてください。

家で過ごすさくら

予防接種は主治医と相談を

重症化しやすい子どもにも、抗体製剤・インフルエンザワクチン・定期接種という予防の方法があります。私たちは主治医と相談しながら、毎月の通院に合わせて受けてきました。

これから冬を迎えるパパ・ママは、まず次の3つを試してみてください。

  • シナジスやベイフォータスの対象になるかを、主治医に聞いてみる
  • 市外の病院で定期接種を受けたいときや、インフルエンザワクチンの助成は、市区町村の窓口で確認する
  • 母子健康手帳で、これまでの接種の記録を確かめておく

予防接種の受け方は、子どもの状態によって一人ひとり違います。私たちの記録が、主治医と相談するときのきっかけになれば幸いです。

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