お子さんの退院が見えてくると、家で使う医療機器の準備が始まります。吸引器や吸入器は、必要な子にとって在宅生活に欠かせない一方で、決して安いものではありませんよね。
私たちもさくらが入院している間に申請を進め、制度を利用して吸引器と吸入器を用意しました。
この記事では、前半で吸引器・吸入器の購入に使える制度のしくみを、後半で私たちが申請してから支払いを終えるまでの流れを紹介します。これから退院を迎えるご家族の参考になれば嬉しいです。
吸引器・吸入器と日常生活用具給付

吸引器や吸入器(ネブライザー)は、『日常生活用具給付』という制度を使うと、自己負担を抑えて購入できます。この給付には、身体障害者手帳を持っている人向けと、小児慢性特定疾病(以下、小慢)の医療受給者証を持っている子ども向けの2種類があります。
| 身体障害者手帳の日常生活用具 | 小慢の日常生活用具 | |
|---|---|---|
| 申請先 | お住まいの市区町村 | お住まいの市区町村 |
| 必要なもの | 身体障害者手帳 | 小慢の医療受給者証 |
| 吸引器・吸入器の対象になる人 | 呼吸器機能障害の手帳を持つ人など | 呼吸器機能に障害がある子ども |
手帳の制度では、対象になる用具が手帳の障害の種類によって決まっています。手帳を持っていても、障害の種類によっては吸引器・吸入器の対象にならないことがあります。自治体によっては、同じ程度の障害がある人や難病の人も対象にしているので、窓口で確認してみてください。
どちらの制度にも、用具ごとに基準額(上限額)と耐用年数が決まっています。私たちの住む市の現在の案内では、次のとおりです。
| 手帳の制度 | 小慢の制度 | 耐用年数 | |
|---|---|---|---|
| 吸入器(ネブライザー) | 36,000円 | 39,600円 | 5年 |
| 電気式たん吸引器 | 56,400円 | 62,040円 | 5年 |
基準額や対象になる人は、自治体によって違います。耐用年数の間は、原則として同じ用具の給付は受けられません。耐用年数を過ぎた後に買い替えの給付を受けられるかどうかも自治体の判断によるので、買い替えを考えるときは窓口で確認してみてください。
小慢と手帳で自己負担が違う
同じ吸引器・吸入器でも、どちらの制度で申請するかによって、自己負担の決まり方が違います。
| 手帳の制度 | 小慢の制度 | |
|---|---|---|
| 自己負担の決まり方 | 原則1割(市町村民税が非課税の世帯は無料) | 世帯の所得や課税状況に応じて決まる額 |
手帳の制度は、基準額までなら原則1割の負担です。一方、小慢の制度は、世帯の所得や課税状況によって、自治体が定めた基準で自己負担が決まります。一律1割ではないので、世帯によっては1割より高くなることがあります。
同じ吸引器でも、どちらの制度を使うかで自己負担が変わります。
また、両方の制度が使える場合は、手帳の制度が優先される自治体もあります。私たちの住む市の案内にも、『手帳を持っている人は、手帳の資格での申請が優先』と書かれていました。どちらで申請できるかは、窓口で確認してみてください。
申請から購入までの流れ

日常生活用具は、申請して支給が決まってから購入するのが基本の流れです。
- 病院の相談員や自治体の窓口に相談する
- 利用できる制度や対象になる用具を確認する
- 業者から見積書をもらう
- 必要書類をそろえて自治体に申請する
- 支給が決まった後、用具を購入する見出し
必要書類や支払い方法は、自治体によって違います。
購入後は申請できない場合があるため、先に購入せず、まず自治体の窓口に確認してください。
入院中のお子さんの場合、退院の日に用具が間に合うかどうかも大切です。支給が決まるまでに時間がかかることもあるので、退院の予定が見えてきたら、早めに相談を始めておくと安心です。
入院中に2つの制度を申請
ここからは、私たちが吸引器と吸入器を用意したときのことを紹介します。1つの例として参考にしてください。
さくらは2022年2月15日に確定診断を受けました。病名はSMARD1(呼吸窮迫を伴う脊髄性筋萎縮症Ⅰ型)という希少難病です。人工呼吸器を使い、気管切開をしていて、家に帰ってからも吸引と吸入が欠かせません。
退院に向けた準備が始まると、病院から小慢と身体障害者手帳の申請を勧められました。在宅で必ず使う吸引器と吸入器を、実費ではなく助成で購入するためです。私たちは2022年3月、入院中に2つの制度を同じ時期に申請しました。
どちらの制度で吸引器・吸入器を買うかについて、病院の見立ては「小慢の方が先に下りそう」でした。4月の退院を目標にしていたので、少しでも早く用具をそろえられるように、小慢の制度で購入する方針にしました。
先に届いたのは手帳だった
ところが、実際に先に交付されたのは身体障害者手帳でした。手帳は2022年4月15日に交付され、両上肢機能全廃・両下肢機能全廃の1級でした。小慢の医療受給者証が届いたのは、退院後の6月頃です。
このことからも、どちらが先に交付されるかは、一概には言えません。審査にかかる時間は、制度や自治体、そのときの状況によって変わります。病院の見立ても1つの目安として受け止め、どちらの結果が先に届いても動けるように準備しておくと安心です。
交付前に届いた吸引器と吸入器
吸引器と吸入器は、それぞれ別の業者から購入しました。まだ小慢の受給者証が届いていなかったため、本来なら購入できる段階ではありません。
それでも、両社の厚意で『現物は先に納品して、請求は申請が下りてから』と対応してもらえました。吸入器は2022年3月23日、吸引器は4月19日に病院へ届き、退院前から病室で使って慣れることができました。
これは業者さんの厚意によるもので、一般的な購入の流れではありません。通常は、前半で紹介したとおり、支給が決まってから購入します。支給の時期と退院日の兼ね合いは、病院や業者と早めに相談してみてください。
支払いは数ヶ月後だった

用具は春に届いてすぐに使い始めましたが、自己負担分の請求が来たのは、小慢の申請が通ってからでした。用具を受け取ってから、支払いまでは数ヶ月空いています。
後から制度を調べ直してみると、私たちの場合、小慢での自己負担は、身体障害者手帳の日常生活用具の原則1割より高い金額になっていました。前半で紹介したとおり、小慢の制度は世帯の所得や課税状況に応じて負担が決まるためです。
どちらの制度で申請するかは、交付の早さだけでなく、自己負担の違いも比べて決めると良いと思います。私たちは早さを優先して小慢を選びましたが、結果的に手帳の方が先に交付されました。申請の前に、それぞれの制度で自己負担がいくらになるかを窓口で確認しておくと、後から驚かずに済みます。
これから申請するパパ・ママへ
前半の制度のしくみと、私たちの経験から、これから申請するときの注意点をまとめます。
- 退院の予定が見えたら、入院中から病院の相談員や自治体の窓口に相談する
- 手帳と小慢のどちらを利用できるか、自己負担の違いも確認する
- 交付の時期や順番は、事前の見立てどおりになるとは限らない
- 用具は先に購入せず、支給決定後の手続きについて自治体に確認する
- 支払い方法や時期についても、事前に業者へ確認しておく
まとめ
吸引器や吸入器は、日常生活用具給付を使うと自己負担を抑えて購入できます。ただし、手帳と小慢のどちらの制度を使うかで、対象になる人も自己負担の決まり方も変わります。
退院に間に合わせるには、入院中から申請を始めておくのが近道です。病院の相談員や自治体の窓口に相談しながら、早めに準備を進めてみてください。
制度の内容や基準額は変わることがあるので、最新の情報は自治体の窓口やホームページで確認してみてください。この記事が、退院の準備を進めているご家族のお役に立てれば幸いです。




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