通所が難しいさくらが、訪問保育を使うまで

通所が難しいさくらが、訪問保育を使うまで 制度・お金

保育園は難しいと言われ、通所の施設に通うのも不安。人工呼吸器などの医療的ケアがあると、子どもの過ごし方の選択肢は限られてしまいますよね。

私たちの娘・さくらも、保育園の受け入れ先が見つからず、通所の施設に通うのもまだ難しいと考えていました。そんなときに知ったのが、家に来てくれるサービスです。2023年1月から使い始め、今も続けています。

この記事では、そのサービス『居宅訪問型児童発達支援』の概要と、私たちが申請してから利用を始めるまでの流れ、家での過ごし方をまとめました。通所が難しいお子さんのご家族に、1つの例として参考になればうれしいです。

居宅訪問型児童発達支援とは

居宅訪問型児童発達支援は、通所の施設に通うのが難しい子どもの家に、スタッフが来て支援してくれるサービスです。2018年4月にできた、障がいのある子どもの通所支援の1つです。

対象は、重い障がいなどがあり、児童発達支援などの通所サービスを受けるために外出することが著しく難しい子どもです。家で、日常生活の基本的な動作の指導や、知識・技能を身につけるための支援を受けられます。

我が家では、保育士さんが来てくれることから『訪問保育』と呼んでいます。ただ、目的は子どもの発達の支援です。保育園のように、親が働いている間に子どもを預かる制度ではありません。

名前の似た『居宅訪問型保育』は、保育園と同じ子育て支援の制度で、保育が必要な3歳未満の子どもが対象です。相談先も保育の担当課で、居宅訪問型児童発達支援とは別の制度です。

訪問型を選んだ理由

在宅で過ごすさくら

私たちが訪問型を選んだのは、保育園も通所の施設も、当時のさくらには難しいと考えたからです。

さくらは人工呼吸器を使い、気管切開をしています。首も腰も座っておらず、たん吸引や鼻からのチューブでのミルク注入が欠かせません。2022年は保育園に申し込んだものの受け入れ先が見つからず、パパとママはそろって育休を延長していました。

通所の施設についても、在宅生活1年目で外出そのものに不安があり、さくらを預けることにも不安がありました。保育園は難しい、通所もまだ難しい。それなら家に来てもらえるサービスを使いたいと考えたのが、訪問型を選んだ理由です。

2022年9月、ママがネットで調べて、家に保育士さんが来てくれるサービスがあることを知りました。当時お世話になっていた保健師さんが、近くで使えそうな事業所に問い合わせてくれて、特に対応が良かった事業所を教えてもらっています。選択肢は多くありませんでしたが、雰囲気が良さそうだと感じ、その事業所にお願いすることにしました。

申請で求められた通所の確認

支援制度の申請相談_イラスト

訪問型を申請したとき、私たちが住む自治体では、まず通所の事業所に問い合わせるよう求められました。全国どこでも同じ決まりがあるわけではなく、あくまで私たちが住むの自治体での体験です。

障がい福祉課に訪問型を使いたいと相談すると、通所の事業所を3ヶ所紹介されました。そのうち1ヶ所は定員が埋まっていて、すぐには使えないと事前に聞いています。当時の説明と求められた手続きから、私たちは「通所の事業所に受け入れが難しいと言われないと、訪問型は認められない」と受け取りました。説明の仕方によるところもあったのかもしれません。

そこで、紹介された事業所のうち1ヶ所に電話しました。人工呼吸器を使っていて体を動かせないこと、在宅生活1年目で外出にも預けることにも不安があること、本当は訪問型を使いたいことを、そのまま伝えています。事業所の方は事情を分かってくださり、「うちで預かるのは難しい」と返事をもらいました。

その結果を、障がい福祉課に電話で報告しました。いろいろと聞かれたり調べられたりするのではと心配していましたが、あっさりと訪問型の利用が認められました。

手間のかかる手続きでしたが、訪問型は、通所がどうしても難しい子どものためのサービスです。本当に必要な家庭が使えるように確認しているのだと、今は受け止めています。

障害児支援利用計画と受給者証

訪問型を使うには、障害児支援利用計画と通所受給者証が必要でした。

障害児支援利用計画は、どのサービスをどのくらい使うかをまとめた計画です。家族が自分で作る『セルフプラン』で出せる自治体もありますが、私たちが住む自治体では、通所はセルフプランで使えても、訪問型は相談支援専門員さん(福祉サービスの利用計画を作り、相談にのってくれる専門職)に作ってもらう必要がありました。障がい福祉課から相談支援専門員さんとのつながりを聞かれ、まだなかったので紹介してもらっています。

2022年12月には、市役所でパパ・ママ・さくらの3人と、相談支援専門員さん、障がい福祉課の方とで面談をしました。さくらの病気や症状、たん吸引やミルクの注入といった必要なケアを確認し、訪問看護を週6日使っていることなど、1日の予定も伝えています。

私たちの場合、申請から支給決定までは、年末年始をはさんで約2週間でした。その後、通所受給者証(通所支援を使うために市区町村が発行する証)を受け取り、事業所と契約して、2023年1月初旬から利用を始めています。

私たちが利用を始めるまでの流れは、次のとおりです。順番や必要な書類は、自治体によって違います。

  • 障がい福祉課に訪問型を使いたいと相談する
  • 紹介された通所の事業所に問い合わせる
  • 相談支援専門員さんを紹介してもらう
  • 市役所で面談し、障害児支援利用計画を作ってもらう
  • 支給が決まり、通所受給者証を受け取る
  • 事業所と契約して、利用を始める

利用者負担の上限

利用料は原則1割負担で、世帯の所得に応じて月ごとの上限があります。国の基準では、上限は次の3区分です。

区分対象となる世帯負担上限月額
生活保護・低所得生活保護世帯、市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割28万円未満)4,600円
一般2上記以外37,200円

実際の利用料の1割が月額上限を下回る場合は、その1割の額を支払います。また、満3歳になって初めての4月1日から3年間(小学校入学まで)は、利用者負担が無償になります。ただし、医療費や食費など、利用者負担以外の実費は無償化の対象外です。

自治体によっては、独自の負担軽減制度を設けている場合もあります。詳しくは、お住まいの市区町村の窓口で確認してみてください。

訪問保育でしていること

風船で感覚遊び

訪問保育では、家族だけではなかなかできない遊びや製作を、さくらに経験させてもらっています。

利用を始めたのは2023年1月初旬で、週1回・1時間です。慣れてきたら週2回に増やしたいことも、事業所には伝えていました。

私たちの場合、たん吸引などの医療的ケアは私たちが行います。SpO2モニター(血液中の酸素の量を測る機器)の数値や顔色など、気をつけてほしい点をスタッフと共有し、同じ部屋で過ごして、何かあればすぐに声をかけてもらうようにしています。

遊びの内容は、音が鳴る人形、風船がふくらむ様子を見たり、しぼんでいく風船を手で感じたりする感覚遊び、手遊び歌、楽器、絵本などです。

私たちだけだと絵本や手遊び歌くらいしかできませんが、安全に気を配りながら、いろいろな遊びを経験させてもらえました。

ひなまつりの製作

特に良かったのが、絵を描いたり色を塗ったり、切り貼りしたりする製作です。毎月、季節に合わせたテーマがあり、2月は節分、3月はひなまつり、4月は桜の製作や遊びをしました。

保育園の子が経験するようなことを、さくらにもさせてあげられたと感じています。

スタッフは何度か交代していて、1人目は保育士さん、2人目は理学療法士さん、3人目は看護師さん、4人目は保育士さんでした。今は3人目と4人目の2人が来てくれていて、訪問は今も続いています。

まずは障がい福祉課へ相談を

通所が難しいお子さんでも、家で療育を受けられるサービスがあります。気になったら、最初の一歩として、お住まいの市区町村の障がい福祉の担当課に相談してみてください。

そのあとの進め方は自治体によって違うので、窓口の案内に沿って進めてみてください。

  • ①障がい福祉の担当課に、訪問型を使いたいと相談する
  • ②窓口の案内に沿って、相談支援専門員さんに障害児支援利用計画を相談する
  • ③訪問に対応している事業所を探す(保健師さんや相談支援専門員さんに聞くのも1つの方法です)

預けて働くためのサービスではありませんが、家族だけでは難しい体験を、家で安全にさせてあげられる選択肢の1つです。少しでもお役に立てれば幸いです。

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