子どもの病気が分かったとき、「仕事をどうしよう」と悩むパパは多いのではないでしょうか。休みたい気持ちはあっても、収入や職場のことを考えると、簡単には決められないですよね。
2022年2月、さくらに治療法のない希少難病があると分かりました。そのとき私(パパ)は、会社を辞めることまで考えました。結果として私たちは、パパとママがそろって育休を取る形を選びました。ママが幹事をしている医療的ケア児・障がい児家族の交流会『関西会』でも、パパは仕事を続ける家庭がほとんどで、我が家のような形は珍しいようです。
この記事では、私たちがどう考えて育休を選び、お金の見通しをどう立てたかをまとめました。同じように迷っているご家族に、1つの例として参考になれば嬉しいです。
病気が分かるまで、育休は考えていなかった
私が育休を考え始めたのは、さくらの病名が分かってからです。それまでは、育休はママが取るものだと思っていました。ママが産休から育休に入ったとき、私は「男性は働いて当たり前」と思っていたため、育休は取らずに普通に働いていました。

さくらの病名はSMARD1(呼吸窮迫を伴う脊髄性筋萎縮症Ⅰ型)です。世界で約60症例しか報告されていない希少難病で、治療法も治療薬もなく、症状を支えるケアが中心になると説明を受けました。現在は気管切開をしていて、24時間人工呼吸器を使用しており、首から下は動かせません。
退職ではなく、まず育休を選んだ
さくらの入院は2021年11月中旬から2022年4月末まで続き、私はほとんど会えませんでした。4月の付き添い入院で約3ヶ月ぶりに会えたものの、たった数日だけでした。会えない時間が長かったこと、何歳まで生きられるかも分からないことから、「まずは一緒にいる時間を確保したい」と考えました。これまでの会えなかった時間を取り戻したかったのかもしれません。
そこで知ったのが、育休とその延長の制度です。まずは会社を辞めずに、一緒にいる時間を作り、仕事のことはさくらの状態を見ながら考えようと思って、育休を取ることにしました。
同時に私たちが悩んでいたのが『1歳を過ぎてからも、パパとママがそろって育休を延長できるのか』でした。ネットで調べても、両親が同時に延長した例はほとんど見つかりませんでした。
そこでママが、病院の地域医療連携を担当している方、労働基準監督署、市役所に確認して回りました。パパも育休を取れる(延長を含む)と分かりましたが、市の担当の方にとっても、夫婦そろっての延長はあまり聞いたことがないケースだったようです。
こうして私は、2022年5月上旬から育休に入りました。さくらの1歳の誕生日まで、約2ヶ月のタイミングでした。

保育園に入れず、育休を延長
育休を1歳より先に延ばすには、保育園に申し込み、入れなかったという結果が必要です。最初に問い合わせた労働基準監督署でも、「障害があっても、この条件は変わらない。」と言われていました。
市役所の保育幼稚園課に相談すると、最初の回答は「今のさくらさんの状態だと、保育園への入所はおそらく難しいと思います。」でした。そのうえで担当の方が、市内すべての保育園に、医療的ケアが必要な子の受け入れ経験についてアンケート調査をしてくれました。
結果は、車いすの子どもを受け入れた経験がある保育園は1つありましたが、人工呼吸器の子どもを受け入れた経験がある保育園は、1つもありませんでした。
実際に第2希望の園まで書いて申し込みましたが、受け入れはできないとの回答でした。これを受けて、私は育休を1歳6ヶ月まで、さらに2歳まで延長しました。ママも同じく、2歳まで延長しました。
なお、保育園に入れないことを理由に育休給付の期間を延長するには、保育園への申込みと、入所できなかったことを示す書類が必要です。2025年4月からは、その申込みが『速やかな職場復帰のため』と認められることも必要になり、ハローワークが確認します。詳しい手続きは、会社の担当者やハローワークで確認してみてください。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に出した保育所等の利用申込書の写し
- 市区町村が出す入所保留通知書など(利用できないことの通知)
育休終了後、パパは退職
最終的に我が家は、私が会社を辞め、ママが働き続ける形になりました。
さくらの2歳の誕生日が近付き、会社から復帰するかどうかを問われました。さくらの状態を考えると、復帰は難しいと判断し、私は退職しました。逆にママの会社は、現場への復帰が難しいと伝えると、リモートワークの体制を整えてくれました。今も正社員として働いています。
もともと私たちの年収はほぼ同じで差がなかったので、どちらが働き続けるかを収入ではなく、リモートワークが可能かどうかという働き方で選べました。
私が退職すれば、世帯収入が減るのは確実でしたが、それでもママは、「家族3人で揃って生活できるなら、そちらを優先してもいい。生活はなんとかなる」と言ってくれました。
「2〜3年は大丈夫」と思えた理由

「生活はなんとかなる」と思えたのは、退院の準備を始めたときから、お金の見通しを立てていたからです。給付金と各種手当、貯金の取り崩しで、「2〜3年は間違いなく問題ない」と考えていました。
育児休業給付金
育休中は、雇用保険から育児休業給付金が出ます。休業を始めてから180日間は休業前の賃金の67%、181日目以降は50%です。給付金は非課税で、育休中は健康保険と厚生年金の保険料も免除されるため、67%の期間の手取りは、休業前の約8割が目安になります。
一方で、住民税は前年の所得にかかるため、育休中も支払いが続きます。私たちは延長期間が長かったので、途中からは夫婦とも50%の期間が長くなりました。
子育てや障害に関する手当
育児休業給付金に加えて、子育てや障害に関する手当も家計の支えになりました。
子どもが生まれてからは児童手当が支給され、さくらの障害が分かってからは、特別児童扶養手当と障害児福祉手当も申請しました。3つの手当を合わせると、当時は月8万円ほどになり、家計の大きな支えになりました。
特別児童扶養手当と障害児福祉手当は、育児休業給付金とは異なり、会社員か自営業かといった働き方にかかわらず申請できます。ただし、どちらにも所得制限や認定基準があるため、対象になるかどうかは市区町村の窓口で確認してみてください。
生活費を抑えられた私たちの環境
もう1つ、家計を支えてくれたのが住まいの費用です。私の父が所有する家を借りて暮らしています。古家ですがマンションやアパートを借りるよりは、家賃を抑えられるので助かっています。また自家用車も持っていないので、車にかかる費用もありません。
給付金や手当に加えて、貯金があったこと、住まいや車にかかる費用を抑えられていたこと。こうした条件がそろっていたからこそ、私たちは「2〜3年は大丈夫」と考えることができました。
手放したマイホームの計画
この選択で、手放したものもあります。
さくらの病気が分かる前は、未就学の間くらいはこの家に住んで家賃を抑え、将来はマイホームを持ちたいと考えていました。両親にとっても、家が空かずに家賃収入になるので、お互いに良い形でした。
しかし、病気が分かり、マイホームの計画はいったん手放すことにしました。世帯収入が減っても、家族の時間を優先すると決めたからです。
正直、マイホームのある家庭を羨ましく思うことがありますが、私たちはマイホームを手放して、家族3人で過ごす時間を選びました。

まとめ
子どもの病気が分かっても、育休の給付金や手当を組み合わせることで、私たちの場合、お金の面は思っていたほど怖くありませんでした。もしパパの育休取得で迷っているなら、まず制度を調べて、家計の見通しを立ててみてください。
『男性は働いて当たり前』のまま決めてしまう前に、家庭ごとの形を夫婦で話し合ってみてほしいと思います。どちらかが休む、どちらかが働き続ける、働き方を変える。お互いができる形で協力できれば、それがその家庭のベストです。
制度の条件は家庭や時期によって変わるので、会社やハローワーク、市区町村の窓口で確認してみてください。この記事が、同じように迷っているご家族のお役に立てれば幸いです。




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