人工呼吸器をつけた子どもとの遠出や帰省。行ってみたい気持ちはあっても、「出先で何かあったら」と考えると、なかなか踏み出せないですよね。
私たちも在宅生活が始まったばかりのころは、近所へのお出かけでさえ一苦労でした。
そんな私たちが2022年10月、初めての遠出として、徳島に住むパパの祖母に会いに1泊2日で帰省しました。出発前に準備したことや、道中で困ったことをまとめます。同じように遠出を考えている方の、少しでも参考になれば幸いです。
初めての遠出は、徳島の祖母に会いに
2021年7月に生まれたさくらは、徳島に住むパパの祖母と、まだ一度も会えていませんでした。
生まれた年はコロナ禍の真っただ中。さらに、原因の分からない体調不良から入院が続き、帰省どころではありませんでした。2022年4月に退院して在宅生活が始まってからも、最初は近所のコンビニに行くのも一苦労で、遠出は絶対に無理だと思っていました。8~9月には、コロナで約3週間の入院もしています。
それでも、近所へのお出かけを重ねるうちに、少しずつ外出に慣れてきました。祖母は高齢で、大阪まで来てもらうのは難しい状況だったので、会わせるなら、私たちから会いに行くしかありませんでした。
ちょうど夫婦そろって育休中だったので、道路が混みにくい平日を選べたことも、行こうと決める後押しになりました。
出発前に準備した、もしもの備え
遠出で一番心配だったのは、出先でさくらが体調を崩したときのことです。
帰省の予定を訪問看護ステーションに伝えると、看護師さんから「出先で何かあった場合、別の病院を受診できるような準備はありますか?」と言われました。遠出のときは、何かあってもスムーズに対応できるよう万全の態勢を、とアドバイスをもらいました。
同じころ、ママは安全にお出かけする方法を調べていて、『MEIS(医療的ケア児等医療情報共有システム)』という仕組みを見つけました。さくらの病名や医療的ケアの内容を登録しておくと、出先で救急搬送されたときに、救急隊や搬送先の病院が確認できるシステムです。
主治医に伝えると、「そんなのあるんですね」という反応でしたが、「もちろん対応させてもらいます」と言ってくださいました。主治医には、念のための紹介状も書いていただきました。さらに、祖母の家から車で30分ほどの県立病院へ、事前に電話で連絡までしてくださいました。
持って行った医療機器と電源
医療機器を持っての遠出で、もう1つ気になったのが電源です。機器を使う場面ごとに分けて、電池が何時間もつかを確認しました。
移動中と祖母の家で、機器を分けた
車の中で使う機器と、祖母の家に着いてからコンセントにつないで使う機器に分けて準備しました。
持って行った医療機器は、次のとおりです。
- 移動中に使うもの:人工呼吸器、置き型のSpO2モニター、人工鼻、酸素ボンベ1本
- 車でも使えるようにしたもの:吸引器、吸入器(シガーライターコード)
- 祖母の家で使うもの:加温加湿器、カフアシスト、酸素濃縮器

機器ごとに、電池が何時間もつか調べた
出発前に、それぞれの機器の電源を次のように確認しました。
- 人工呼吸器(フィリップス トリロジー Evo)は、内蔵と着脱式のバッテリーで、メーカーの公称で合計15時間動きます。
- 吸引器(新鋭工業 パワースマイルS)は、購入したときから別売りの充電池セットを付けていました。充電池では合計約80分使えて、続けて使えるのは30分以内という仕様です。万が一に備えて、車のシガーライターから電源を取れるコードも買い足しました。
- 吸入器(フィリップス イノスパイア ミニ)は基本的に家で使うので、1万円以上する別売りのバッテリーは買っていませんでした。お出かけに合わせて、シガーライターコードを買いました。
- 置き型のSpO2モニタ(Nellcor N-BSJ)は、ネットで調べると、個人の方のブログに「6時間もつ」とありました。
祖母の家までは、高速道路を使えば休憩なしで4時間ほどです。「SpO2モニタが6時間もつなら大丈夫だろう」と、このときは安心していました。
SpO2モニタの電池が残りわずかに
移動には、カーシェアで借りたN-BOXを使いました。
高速道路では風が強く、車が揺れる場面もあったので、普段よりスピードを控えめにして走りました。
休憩も、普段なら1回くらいのところ、このときは淡路SAをはじめ何度か取りました。その結果、4時間ほどの道のりに6時間以上かかりました。
途中で、SpO2モニタの電池の表示が残り1つになり、焦りました。
そこで立ち寄ったショッピングセンターの眼鏡屋さんにお願いして、30分だけ充電させてもらいました。祖母の家までは残り30分ほどだったので、30分充電できれば十分だと判断しました。
さくらを見て、嬉しそうだった祖母
祖母の家に着くと、祖母は本当に嬉しそうに、さくらを迎えてくれました。コロナ禍で、親戚の人たちも田舎への帰省を控えていたので、きっと寂しかったと思います。

このとき、さくらは1歳3ヶ月。何が起きているのかは分かっていなかったと思いますが、ずっとニコニコしていました。そんな二人を見て、会いに来てよかったと思いました。
翌朝は、祖母と一緒に、さくらをバギーに乗せて近くの川沿いの道を散歩しました。

気軽には行けないけれど、行ってよかった
出発前にはMEISなどについて調べ、紹介状を書いてもらったり、現地の病院へ事前に連絡してもらったりしました。結果的に、さくらは体調を崩すことなく、これらの備えを使わずに済みました。
医療機器を持っての遠出は、準備から当日まで大変で、気軽に行けるものではありません。それでも、さくらを祖母に会わせることができて、本当によかったと思っています。
遠出や帰省をためらっているパパ・ママは、まず、かかりつけの先生や訪問看護師さんに相談してみてください。出先で頼れる病院のことや、使える仕組みを一緒に考えてもらえると思います。





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