体が動かせない、言葉が話せない。そんなお子さんとのコミュニケーション手段を探している方は多いのではないでしょうか。
私たちも、さくらが首から下を動かせなくなってから、どうやって気持ちを伝え合えるかをずっと考えてきました。そんな中で出会ったのが「視線入力」という方法です。
視線入力を知ってから、実際に重度障害者用意思伝達装置として支給されるまで、私たちの場合は約半年かかりました。今回は、その半年間で私たちがどう動いたか、時系列で振り返ります。申請の基準や費用の詳しい話は別記事にまとめる予定なので、今回はあくまで「導入までの流れ」を中心にお伝えします。
訪問看護のSTさんに教えてもらった「視線入力」という選択肢
視線入力の存在を最初に教えてくれたのは、訪問看護ステーションの言語聴覚士(ST)さんでした。
私たちの場合は、それまで視線入力という言葉自体を知りませんでした。STさんから「こういうものがありますよ」と紹介してもらい、EyeMoTグランプリという大会の動画を見たのが最初のきっかけです。

視線を動かすだけでパソコンを操作してゲームができる。体が動かせない子どもたちが、目の動きだけで対戦したり遊んだりしている様子に驚きました。「さくらにもできるかもしれない」と思えた瞬間でした。
福祉機器展で知った、視線入力の世界
2024年6月、京都で開催されていた福祉機器展に足を運びました。会場には視線入力のブースがあり、そこで相談してみることにしました。
このブースは主に児童発達支援や放課後等デイサービスなど、事業所向けに提案しているところでしたが、個人としても話を聞かせてもらえました。
ここで教えてもらったのは、視線入力装置はTobii(トビー)という会社がほぼ1強であること、そして福祉用の「PCeye5(シルバー)」と、一般用の「アイトラッカー5(ブラック)」があるということです。
市役所へ相談、そしてレンタルで試してみる
7月、市役所の障害福祉課へ視線入力について問い合わせに行きました。
担当の方は視線入力について知らなかったため、スマートフォンで動画や写真を見せながら説明しました。私たちが知りたかったのは、さくらの状態で福祉用として申請できる可能性があるのか、その判断基準はどこにあるのか、という点です。担当者も「調べてみます」とのことで、私たちも自分たちでもっと情報を集めることにしました。
この時点で、EyeMoTが島根大学の伊藤先生の研究室が開発している無料アプリであること、アイトラッカー5があれば自宅のパソコンでも遊べることも分かってきました。同時に、重度障害者用意思伝達装置としての申請・支給のハードルが高いという情報も耳にするようになりました。
8月、まずはさくらがどれくらい視線入力を使えるのか、実際に試してみることにしました。茨木市の業者「アルファテック」さんで1ヶ月間のレンタルが可能であることを知り、さっそく問い合わせて借りてみました。

客観的な証拠を残す。動画撮影と自宅訪問
9月に入り、福祉用として申請するにあたって、今のさくらの状態が客観的に見て「使えている」と言えるのかどうかを、障害福祉課の担当者に確認してもらうことにしました。
そこで、実際にゲームをしている様子を動画に撮影し、5つのゲームプレイ動画をメールで共有しました。担当者からは「動画を見る限り使えていると感じるが、実際に訪問して確認したい」との返答があり、日程を調整して10月に自宅訪問をしてもらうことになりました。
業者にもこの経緯を伝え、レンタル期間の延長を相談して継続できることになりました。
障害福祉課の職員2名と保健師1名が自宅を訪問し、さくらが実際に視線入力を使っている様子を直接確認してもらいました。その結果、「使えているだろう」との判断をいただき、正式に申請手続きを進めることになりました。主治医にもメールで相談し、申請に必要な書類の準備をお願いしました。
支給決定、そして重度意思伝達装置が届くまで
11月、定期受診の際に医師からの必要書類を受け取り、業者から取り寄せていた見積書とあわせて障害福祉課へ提出しました。通常は1ヶ月ほどかかると聞いていましたが、実際には2週間ほどで支給決定の連絡があり、12月には納品となりました。
視線入力に興味を持ったら
視線入力を知ってから支給決定まで、私たちの場合は約半年かかりました。振り返ってみると、STさんからの紹介、福祉機器展での情報収集、市役所への相談、レンタルでのお試し、動画での証明、自宅訪問と、一つひとつのステップを積み重ねた半年間だったと感じています。
視線入力に興味はあっても、どうやって申請すればいいのか、レンタルはあるのか、費用はどれくらいかかるのか、気になっている医療的ケア児・障がい児のご家族は多いのではないかと思います。
申請が通れば、重度障害者用意思伝達装置として支給を受けられます。もし通らなかった場合でも、市販のアイトラッカー5とパソコンを自分たちで用意するという選択肢もあります。実際、さくらの友達は我が家で視線入力を体験し、使えることがわかったので、早速Amazonでパソコンとアイトラッカー5を購入しました。
まずは訪問看護や相談支援の窓口、お住まいの自治体の障害福祉課に相談してみてください。申請の基準や費用の詳しい内訳については、別の記事で詳しくまとめる予定です。

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